この記事で分かること
• 動物病院で補助対象になる経費
• 実際の採択事例
• 申請時に注意すべきポイント
• 採択されやすい事業計画の考え方
前回は、動物病院が小規模事業者持続化補助金の対象となる条件や、補助額・特例制度について解説しました。
補助金を活用するうえで次に気になるのは、「どのような取組が補助対象となるのか」という点ではないでしょうか。
今回は、動物病院で活用できる補助対象経費の具体例や採択事例を紹介するとともに、申請時に押さえておきたいポイントについて解説します。これから設備投資やサービス拡充を検討している院長先生は、ぜひ参考にしてください。
補助対象経費は「機械装置等費」「広報費」「ウェブサイト関連費」「委託・外注費」など8区分に分かれています。動物病院での活用イメージは下記の通りです。
【機械装置等費】
新たな診療メニュー立ち上げのための検査機器、外注していた検査を院内で行うための機器、シニア期・大型犬の負担を軽減する昇降式診察台など。
【広報費】
新しい診療メニューを紹介するチラシ、視認性を高める外看板、地域情報誌への広告掲載など。※会社案内・求人広告・名刺は対象外です。
【ウェブサイト関連費】
ホームページのリニューアル、オンライン予約システムの導入、診療メニュー紹介動画の制作など。ただしウェブサイト関連費のみでの申請はできず、第20回公募より広報費・ウェブサイト関連費にはそれぞれ上限30万円が設定されています。HPリニューアル単独ではなく、他経費と組み合わせて設計しましょう。
【委託・外注費】
待合室を犬用・猫用に分離する改装、バリアフリー化工事、処置室の動線改善工事など。※建物の増築・増床などの不動産取得に該当する工事や、住宅兼院舎における住宅部分の工事は対象外です。
いずれの区分でも共通するのは、「その投資がどのような新しいサービスにつながり、どう新規の飼い主様の獲得に結びつくのか」を説明できることです。単なる老朽化した機器の入れ替えは対象となりません。
実際に採択された動物病院の事例を見ていきましょう。まずは小規模事業者持続化補助金の事例です。
・手術・入院機能の強化による集客力の向上
・ペットホテル・トリミング・診療を組み合わせた複合サービスの展開
・超音波エコーの導入による診療対応時間の拡張
・ジェット酸素療法の導入による診療メニューの拡充
注目したいのは、いずれも「機器を導入すること」自体が目的になっていない点です。エコーの導入は「診療時間を広げる」ための手段、手術・入院機能の強化は「集客につなげる」ための取り組みとして位置づけられています。導入する設備を起点にするのではなく、「どんな診療体制を実現し、どんな飼い主様に来ていただけるようになるか」から逆算して計画を組み立てることが、採択に近づく道筋です。
なお、補助上限額(特例活用で250万円)を超えるCT・内視鏡などの高額機器の導入には、他制度が適しているケースもあります。
・硬性鏡導入による低侵襲な腹腔鏡手術への対応(ものづくり補助金)
・高度医療・重症管理体制の整備(ものづくり補助金)
・高齢ペットの回復支援サービスによるQOL向上(事業再構築補助金)
・訪問診療および高齢の飼い主様向けサービスの提供(事業再構築補助金)
これらの事例では、「高齢期のペットにどう寄り添うか」というテーマが繰り返し登場します。ペットの長寿化にともなうニーズの変化は多くの動物病院に共通する課題であり、事業計画の切り口として説得力を持たせやすいテーマです。少額なら持続化補助金、大型投資や新規事業ならものづくり補助金・新事業進出補助金と、投資規模と目的に応じた制度選びが大切です。
①「設備の更新」ではなく「販路開拓」として組み立てる
持続化補助金がもっとも重視するのは「販路開拓につながるか」です。同じ検査機器でも「既存機器の更新」ではなく「院内で検査を完結させ、当日中に結果を説明できる体制で新規来院につなげる」と説明できるかで評価は大きく変わります。自院の強みや商圏の特性をふまえ、具体的な数値とともに示しましょう。
②汎用性の高い備品は対象外
パソコン・タブレット・プリンターなどは対象外です。電子カルテや予約システムは、ソフトウェア・システムの構築費用(ウェブサイト関連費)は対象となり得る一方、それを動かす端末は対象外という整理になります。
③補助金は実績報告書の提出後に交付される
費用はいったん事業者側で全額支払う必要があり、その間の資金繰りに注意が必要です。また、交付決定日以降に発注・契約・支払いを行うことが条件で、先に発注すると対象外となります。
④商工会・商工会議所とGビズIDの準備は早めに
本制度は商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組むことが要件で、必要書類の「事業支援計画書(様式4)」も同窓口が発行します。発行受付締切は公募締切より1週間〜10日ほど早いのが一般的です。また申請は電子申請のみで、GビズIDプライムのアカウント取得にも時間がかかるため、早めに準備しましょう。
今回は、動物病院における小規模事業者持続化補助金の活用方法や採択事例、申請時の注意点について解説しました。
採択されている事例を見ると、単なる設備導入ではなく、「新しい診療サービスの提供」や「新規飼い主様の獲得」といった販路開拓の視点が重視されていることが分かります。
今後の設備投資やホームページの改修、院内環境の改善などを検討している場合は、自院の将来像と結び付けながら事業計画を組み立てることが重要です。補助金を上手に活用することで、負担を抑えながら地域に選ばれる動物病院づくりを進めることができるでしょう。
〒243-0018 神奈川県厚木市中町3-11-18 Flos厚木 5F
本サービスは会員限定です。
森久保CAメディカルとお取引のある方は、「お取引のある方」より新規会員登録のうえ、各サービスページよりお問い合わせください。
初めてお取引をされる方は、下記「初めてのお取引の方」より、新規会員登録用の事前申請をお願いいたします。
サービスの掲載をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。